当病院の外科研修プログラムが厚生省により認可!
3年制研修プログラムに、プノンペン大学およびベルギー給費外科医が参加
プノンペン大学および保健省首脳との会談の結果、当病院外科医長のグラハム・ガムリー医師により開発された3 年間の外科研修プログラムが、正式な医師研修科目として認められることになりました。 「この病院に赴任して1 年の経験と同僚から得たデータにもとづき、我々の知識をベースに、当病院が経験した重症および最新の症例に適用できるプログラムを開発しました」とガムリー医師。
プノンペン大学は、その外科研修生の1人を6カ月単位のローテーションでシアヌーク病院に派遣したいと希望し、またベルギーの給費外科研修プログラムでは、毎週当病院に6人の研修生を送り、半日間の指導にあたらせる旨を約束してくれました。
地方病院に対して大規模な寄付
当病院が提供した8 個のコンテナ分の医療物資が、地方病院と保健省との架け橋になりました。この大量の寄付物資の到着が、地方病院の必須備品需要を満たすとともに、市内の多数の病院を大きく援助することになりました。当病院のベッド数は限られていますので、常時患者を地方病院に回さなければならない必要性に迫られています。しかし、これらの病院には医療物資が極端に欠乏していることが多いのです。
私たちが患者たちの危急性と寄付されてきた必須医療品や物資の提供について話しあった結果、シアヌーク病院からの貧しい患者を受け入れたいという各病院側の意志が、著しく向上されたのでした。また、各辺境地区の病院のために必須物資を保健省に供給したいと我々が提案したところ、保健省側からは術後の痛みを軽減するための貴重な薬品を当病院薬局に供給してくれることになりました。
エイズ患者の対応に全力
エイズは、当院を訪れる多くの患者の命や家族に、悲劇的な影響をおよぼしています。エイズ感染を伴う重症の疾病の処置にあたっている私たちは、エイズ教育や家庭でのヘルスケアにも意欲的に取り組んでいく予定です。
カンボジアは、現在アジア最大のエイズ感染国となっています。約15 万人の感染患者を抱え、しかも毎年 17,000 〜25,000 人ずつ増えています。2000 年までには総人口の1.5 %に及ぶことが予想され、今年末までの死者数は21,800 人と算定されています。識字率が60 %、平均修学期間がわずか2.5 年であることに加えて、貧困、栄養失調、そして他の性伝染病の蔓延などが拍車をかけ、患者増大率も世界最速です。
直接接触をする性労働者の42%がHIV に感染しており、これもアジア最大の割合です。感染者の40 %は女性であり、妊娠女性の2.6 %が感染しています。こうした危機を回避することは、肺炎・結核などのエイズにより引き起こされる二次感染を治療しつつ、日常生活態度や行動に対する教育を施すことにほかなりません。
当病院は、カンボジアでのHIV 対策を展開するうえで、革新的なリーダーシップをとってきたことを自負しています。カンボジア人主任エイズ内科医であるソック・ファン医師、ネイビー医師、ガック医師等を先達とし、ギリアン・ホール医師の指導のもと、献身的な医師、看護婦およびパラメディカルスタッフが育ってきています。これまでの成果としては、外来および入院患者に対するサービスが向上してきたこと。さらに、自らの時間を割いて公衆衛生教育や服装、コンパニオンシップ、食事や個人対応で末期のケアに貢献してくれるボランティアを養成するための、ボランティアトレーニングプログラムを開発したことが挙げられます。
ボランティアによる、いわゆる衝撃緩和プログラムも実施されています。これは、英国人家庭医学内科医であるギリアン・ホール医師、ボランティア・コーディネータであるチハベリス氏の指導のもと、ホスピスや家庭におけるエイズ患者の支援を推進するものです。1 年前にHIV 支援グループがスタートし、患者の激励、患者のエイズ教育の推進、そして相互の精神的なニーズを満たすために尽力しています。
プノンペンの街路や隣接地区におけるエイズ啓蒙活動は、世界エイズデーキャンペーンの一環として昨年 11 月に4,000 世帯以上を対象に実施されました。この成果は、ボランティアの人たちがその献身的努力を9 カ月間にわたって継続してくれるという形であらわれ、彼らは連日エイズ患者の家庭や病院の訪問を続けてくれたのです。
このグループに属していた常駐ボランティアのうちの3 人が、今年、WHO (世界保健機構)から財政支援をうけたフルタイムのエイズホームケア・パイロットプロジェクトの一員として任命されました。これは、カンボジアにおけるエイズ患者の看護および支援を向上させるための組織的ホームケアとしては、パイオニア的な試みです。
またこのボランティアグループは、エイズ患者の生理的および精神面での要求に応えるための看護、およびエイズ知識の研修のための支援資金を世界銀行から提供を受けました。研修資料は、シアヌーク病院のガク医師およびネービー医師により作成されています。新規ボランティア研修プログラムをスタートするにあたり、ゲストスピーカーとして招待されたのは、ナショナル・エイズプログラム委員長であるテイア・ファラ医師です。世界銀行、CARE ・インターナショナル、保健省、ワールド・ビジョン、およびHIV ・エイズコーデイネーション委員会の他のメンバーをゲストに迎えたパーティが、ボランティアを対象にした第一回研修会に先だって行われました。
この14週間にわたる研修プログラムによって、自らの貴重な時間を公衆予防教育やターミナル疾病の看病に捧げてくださるボランティアの皆さんは、この都市において大きな影響力を持ち続けることでしょう。なお14 週間にわたるボランティア研修プログラムを指揮するのは、ナショナル・エイズ・プログラム委員長のテイア・ファラ医師です。
患者数は増大の一途
当病院医療スタッフの技能向上により、診療できる外来患者数も増えてきました。
この月は、7,730 件の診療を実施し、うち154 件が外来外科患者、7,566 件が内科診療でした。プノンペン市にて当ニュースレターを公表すると共に政治的なアピールも行った結果、全スタッフが積極的に協力して、貧しく危急を要する患者を可及的すみやかに診療できるようになりました。 |