手術数1,000件に
1998 年1 月に外科部を開設して以来、わずか1 年半の間に実施された手術が、このほど1,000 件に達しました。
外科部は、病院内の他部署に謝意を表し、この道程に達したことを祝しました。その手術内容も、世界最高レベルの外科病院で扱う症例と同等の難度のものが多く、それを短期間にこれだけ多数実施するには、部署間のチームワークが不可欠だったからです。
手術スタッフも、発足時わずか5人でしたが、現在は13 人にまで増えています。現在、一日平均4 〜5 件の手術をこなしながら、特に医師や看護婦に対して外科理論および臨床研修にも力をいれています。骨肉腫の摘出や四肢の再建、胃切除や喉頭がん、また多くの地雷犠牲者の処置など、大手術も少なくありません。外科病棟スタッフは、患者の術後管理に非常に優れ、慎重な病状監視や合併症発生阻止のための介入などに、力を尽くしています。
これだけのレベルの研修と治療が実現できているのも、貧困患者の救済のために財政的また外科物資をご支援くださったドナーの皆様のおかげであり、一同あらためて心より御礼申し上げる次第です。
救急車の寄贈
大阪市のセイケン医療株式会社のタガワ・ヨシオ社長より救急車が2 台寄贈され、このほどカンボジアに到着しました。これらは、東京所在のサイド・バイ・サイド/ ザ・ファミリーというキリスト教福祉団体に贈呈されたものでしたが、この団体より当病院で使っていただけないかという問い合わせをいただいたものです。
これらの救急車は日本製で右ハンドルのため、当初は輸入許可が下りませんでした。しかし、厚生大臣および運輸大臣と討議されたフンセン首相は、最終的にその人道的価値を承認、輸入許可を出してくれたのです。
シアヌーク病院が一台を所有し、一台は日本の著名な写真家のイズ・ケンロー氏が設立したシエン・リープ所在のアンコール・小児病院に寄付されることになりました。
うれしいことに、さらにもう一台の救急車がタガワ氏より贈られるとのことで、これは厚生省を経て地方の保健局に寄贈される予定になっています。
ソク・ファン医師とクリストフ・ベンドレック医師
シアヌーク病院、特にHIV/エイズ部が、朗報に湧きました。ソク・ファン医師が、ドイツのコローニュ大学病院に短期留学することになったのです。彼は、カンボジア・プノンペンの保健科学大学の皮膚学・性感染病学の上級講師であるクリストフ・ベンデイック医師とともに、7月29 日にプノンペンを発ち、ドイツに向かいました。ベンデイック医師は、1 年間にわたり、自らの時間を割いて、当病院で皮膚学研修クリニックを週に2 回開き、スタッフの指導にあたって来られました。彼によれば、このクリニックで診断や患者管理についてカンボジア人内科医を指導しているときに、過去最も困難な皮膚疾患の症例に遭遇したとのことです。
1998年、彼のドイツ人の知人であったコローニュ大学の感染病専門医であるベルンド・ザルツバーガー医師がプノンペンを訪れ、HIV/エイズについてご講義されたことがきっかけとなり、今回の短期留学が実現したものです。ベンデイック医師、ザルツバーガー医師、そしてデユッセルドルフ所在のシュミッツ・シュテイフングエイズ基金のご支援に、厚く感謝申し上げます。この貴重な体験は、彼の知識と経験を深め、帰国後同僚にその会得した財産を分かち与えてくれることでしょう。
ベンデイック医師曰く、
「長期的な視点から価値ある医療を継続してゆくためには、スタッフ研修が必要不可欠です。コローニュ大学病院のご協力をいただいて、シアヌーク病院スタッフが現地で研修を受けられるようになったことを、大変うれしく思います。病院側のお力添えがなければ、今回のような外国研修のチャンスは有り得なかったでしょう」
ソク・ファン医師は、ドイツで6 週間の研修を受けられることを、とても楽しみにしています。彼は、「本当にうれしくて、いまだに信じられません。ベンデイック医師とは、なんども症例について議論を重ねてきた間柄です。外国で、HIV/エイズに関する臨床知識・技術を研鑚できることは、かけがえのない貴重なチャンスです。この経験を、必ずこのカンボジアで活かしていきます。そして、今後も両病院が、互いにより多くの情報を共有できるようになれば、と願っています。シアヌーク病院、特に内科部長のキャメロン・ギフォード医師、研修中私の担当業務をカバーしてくださるギリアン・ホール医師、そしてガムリー医師に大変感謝しています。この旅行に今から胸躍らせています」
寄 付
ボランティアで当病院に支援にきてくださっているビル&キャロリン・ウェスター医師夫妻を通じて当病院の活動をお知りになった、ハワード&セルマローゼンさんご夫妻からいただいた財政支援に、心より御礼申し上げます。彼等のご支援により、カンボジア人医師1 人と看護婦1 人を当病院にて研修を受けさせるための給料を提供することができます。
また、先般いただいたシャーランド・ブランチャードさんからの寄付金により、当病院で看護婦1 人が一年間研修を受けられることになります。 |