計調査で高い評価
プノンペンの膨大な医療需要に応えているシアヌーク病院の健闘ぶりが、先般発行された『全国健康統計報告』から読み取れます。
シアヌーク病院は、わずか22 ベッド、30 人の医師と 70 人の看護婦で、1998 年度には約10 万人の外来患者を診察しています。これに対して4 つの国立級の大病院が、あわせて314 人の医師、636 人の看護婦、1,033 ベッドを擁しながら、診察した外来患者総数は83,000 人にとどまっています。この数字は、当病院が提供している医療が、高い質ばかりでなく、マンパワーでも驚異的な効率を上げていることを物語っています。
また、独立機関により実施された《健康要請調査》でも、プノンペンの貧困者および極貧者を対象にしたアンケートの結果、シアヌーク病院を高く評価したコメントが載せられています。この調査は、25 万人を対象にしておこなわれ、そのうちの30 %の方は、医療に充てることができる費用がゼロと回答。50 %が65 セント以下でした。
待ち時間は短くないものの、当病院で診療を受けた人々は自分たちが貧しくとも尊重されていることを実感し、スタッフが施す処置や投薬、そして健康アドバイスに高い信頼を置いていることが明らかになっています。
寄 贈
ボストンのデーブさんご一家より、ご寄付をいただきました。医療スタッフの臨床研修や教育のために、皆様の継続的ご支援が、カンボジアにおける長期的な医療能力の確立に不可欠です。$6,000 で、1 人の内科医が臨床研修、講義、実地の個別実施指導を受けることができます。また、$3,000 で、当病院の病棟、救急治療室、外来部などで看護婦たちが研修を受けることが可能です。
マサチューセッツ州アンドバー所在のヒューレット・パッカード社が、エコー診断装置を寄贈くださいました。このたいへん貴重な機械は、内科病棟に設置されます。深刻な心臓病患者も含め、11 人の重病患者を収容できる内科病棟にこの機械が導入されたことで、より迅速な検査が可能になります。ミルトン・ドレーク医師とウォルターコトコウスキー氏のき奔走により導入が実現したこの新兵器によって、内科病棟と救急治療室との間で日々実施されている多量のエコー心電図処理が、画期的に促進されることでしょう。
内科医・医療補助員の父子が指導
当病院を訪れたミルトン&ジョナサン・ドレークさん父子が、心臓病学・救急治療研修プログラムに絶大な貢献をしてくれました。
ジョナサンさんは、テキサス州エルパソの救急医療サービス部の救急治療インストラクター兼医療補助員として、5 年間の経験をお持ちです。当病院スタッフに、高度な副木技術や脊髄固定方法を指導してくれました。
彼は、現在フィラデルフィアのテンプル大学にて、医療に関する勉強を続けています。
「アメリカのどこで行われている医療と比べてみても、カンボジアの人々の医療需要の膨大さには、圧倒されるばかりです。シアヌーク病院のご活動は、本当に称賛に値します」
ボストンにて心臓病専門医として豊富な経験を持つミルトン・ドレーク医師は、質の高い医療を提供しつつカンボジアの将来を担う医師や看護婦を養成するという病院の使命に対して、ぜひ実践的な貢献をしたいと熱望されていたとのこと。彼は、肺代謝、深部静脈血栓、高血圧、心外膜炎などについて講義され、深刻な心臓病に悩む多くの若い患者を扱う当病院内科医にとって、かけがえのない学びのひと時となりました。彼は、当病院での経験について次のように語りました。
「ここ熱望で実施されている医療のあらゆる面に、感銘を受けました。各自の役割を一瞥で識別できるように配慮された制服、医療の本質的価値の強調、施設の清潔さ……など、すべてが慈愛に基づき常に高質の医療を提供するという一つの目的に帰結されています」
米国から整形外科のコーチ
米プエブロ市より、整形外科のジーン・プフラムさんが、娘のリビーさんを伴って8 月に当病院を訪れ、臨床外科研修に多大な力を添えてくださいました。彼は、糖尿病性脚、背骨下部痛、肩・膝部外傷、そしてコンパートメント症候群について講義し、また関節鏡を用いた手術も執刀されるなど、多くの複雑な手術において、精力的に当病院スタッフを支援してくださったのです。
アボット社が免疫化学解折装置の稼動を支援
アボット・ラボラトリーズ社の診断部より、たいへん貴重な部品とサービスをご提供いただきました。それは、カリフォルニア州のカイザー・パーマネント社より寄贈された免疫化学解析装置に関するもので、この装置によって、当病院内での甲状腺ホルモン、心臓、癲癇そして抗生物質薬物レベル試験が実施可能になります。
在ベトナムのアボット社診断部のロッド課は、MD のギュエン・ドウック・クワンさんおよびゴ・クワン・カイさんの専門技術を快く提供され、この装置を立ち上げるための協力を約束してくれたのでした。この結果、当病院の甲状腺試験の実施コストを$2.38 分削減でき、年間では$2,085 、この装置の寿命の5 年間では$10,425 の節約になります。当病院検査室主任のアンジェラ・ウェイドさんは、
「カンボジアでは、診断サービスに対する援助を得るのは、極めて困難なのが実状です。ですから、アボット社のご好意は、計り知れない価値があります。現在、月間73 件におよぶ試験が行われていますので、この機械のおかげで、正確な診断のためのより迅速なサービスが提供でき、コストも大幅に低減できることでしょう」 |