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1999 9
マンスリーレポート
目標達成記念
目標達成記念・スタッフ懇親会

『 シアヌーク病院のあらゆる活動に感銘を受けた。医療技術と施設の清潔さという病院の根本的価値に重きをおきつつ、慈愛にあふれ、すべて高質の医療を提供するという目的に帰一している 』
(1999 年6 月、ボストンから訪れた客員心臓外科医)

『 カンボジアにおける医療事情を改善するには、スタッフ研修を長期的に継続していくことが不可欠だ。シアヌーク病院の医師たちは、非常に熱心に質問を向け、その学習意欲の高さに目を見張らされた 』
(当病院で週2 回臨床診察を担当し、プノンペンの保健科学大学で皮膚科・STD 科上級講師を務めるドイツ人皮膚科医、クリストフ・ベンデイックさん)

『 カンボジアは、観光にふさわしい土地とは決していえないかもしれない。しかし当病院スタッフの向上意欲は極めて高く、成長も著しい 』
(1998 年、米国から来訪、6 カ月間にわたるボランティア奉仕に尽くしたバジル・ファイン内科医)

『 整形外科チームのメンバーは、みな自分の役割をよく認識しており、私は手術と指導に集中することができた。全員が、いつ何をすべきかをよくわきまえている 』
(1998 年2 月、オーストラリアから支援に来訪した客員整形外科医、ダグ・ターナー医師)

『 スタッフは真心があって親しみやすく、情熱にあふれている。看護婦と医師とは、心からの信頼関係で結ばれていた 』
(米国で20 年の経験を重ね、6 カ月間ボランティアを務められたベツイー・ロバーツさん)

『 この病院の外科研修プログラムは、まさにスタッフをカンボジアにおける整形外科のリーダーに育てることのできる内容だ 』
(1998 年、米国からの客員整形外科医)

『 シアヌーク病院とは、たいへん貴重な関係を結ぶことができた。彼らは、我々に計り知れない価値あるサービスを提供してくれている 』
(キン・クレアン・リハビリテーションセンター、ベテランズ・インターナショナル所長ラリー・ワレン氏)

『 スタッフの謙虚さと教えやすさが印象的だった。自分が教えたこと以上のものを学ばせていただいた。
この病院のあらゆる活動は、効率的かつ効果的に、すべて患者第一主義でなされている 』
(1998 年11 月、米国からの客員内科講師、テイム・カミングズ医師)

『 外国人スタッフとカンボジア人スタッフとが、分け隔てなく和やかに協力し合っていることに感じ入るものがあった。彼らは、カンボジアの人々のために真心のこもった高質の医療を提供するという、共通の目標にむかって心を一つにしている 』
(カリフォルニア州リンウッド所在、聖フランシス医療センター救急医療部副部長、マイケル・ステファン医師)


9月度の寄付

 コニカ社製X 線フィルムを100 パックご寄贈くださった在プノンペンのJEL トレーデイング社、ジェブ・リム・マーケテイング部長に深謝いたします。当病院では、他の施設では無料診断治療を受けられない患者たちに対して、毎日40 件以上のX 線診断を実施しています。このご支援のおかげで、大きな負担となっているX 線診断経費を抑えることができます。

 また、需要の大きい医療備品や機器をお送りいただいたアメリケアーズ社に対して、厚く御礼申し上げます。米国在住のスタッフ、ウオルター・コトウスキー氏を介して、米国の病院やメーカーから発展途上国へ寄付物資を輸送するために尽力されているこのチャリテイ団体のご協力を戴くことができました。


ボランティアのヨハンナ・レイナ医師

 米国から来訪されたヨハンナ・レイナ医師は、当病院にて9 カ月間のボランティアを希望、先般、医療チームに加入されました。1994 年に医大を卒業されたコロンビアの首都ボゴタ出身のヨハンナ医師は、マヨ・クリニックにて1 年間研究を続けたのち、ノースキャロライナ大学で内科学のインターン研修を終了しています。
 帰国後は、ニューヨークのコーネル大学にて熱帯医学、感染病および、エイズの研究を続ける予定というヨハンナ医師は、
 「この病院に到着して以来、スタッフのみなさんのプロ意識に感服するばかりです。どの人も勤勉で、救いと希望を求めて訪れている多くの患者の需要に応えていらっしゃいます。このような医療チームの一員になれたことは、本当に光栄です」



第二次ボランティア HIV/エイズ研修コース

 増大を続けるエイズ感染などのため、地域ヘルスケアへの需要がうなぎのぼりとなっています。シアヌーク病院は、このような要請に対して、第二次 HIV/AIDS/STD ・地域ヘルスケアの研修コースの実施に全力を挙げて取り組んでいます。

 シアヌーク病院のコン・ブン・ネイビー医師は、23 人のボランティアリーダーを対象に、5 日間にわたる指導者養成研修の企画運営に携わりました。ギリアン・ホール医師とグラハム・ガムリー医師が開催し、 KHANA(クメールHIV/AIDS NGO 連合)により資金援助を受けたこのコースは、CRC(カンボジア赤十字)から提供されたものを含む、多くの試験済みおよび検査済みの物質を使用して実施されました。

 このコースの講師を務めたのは、UNDP のチュン・ボラ氏と当病院のネイビー医師。そして、12 週間にわたる土曜研修を受講した25 名のボランティアが助手として協力しました。

 この研修の参加者は、全員が前回の研修受講者であり、かつ事前の面接でカンボジアにおけるHIV/エイズの感染阻止のために大きな使命感をもつ者であることが確認され、選ばれた人々でした。

患者の物語
「重態のマラリアから奇跡の生還」 サイン・サイさん
 サイン・サイさんは、深刻なマラリアに冒され、高熱と倦怠を訴えて収容されてきました。しかし、すでに全身の赤血球の75 %が破壊されており、血糖値が激減していました。地元の病院でマラリア治療を受けていたらしいのですが、当病院に到着したときには、ほとんど意識のない状態でした。酸素吸入とグルコースIV を投与しましたが、呼吸は非常に速いまま変わりません。動脈血中気体検査を実施したところ、高速呼吸の原因は、血中に蓄積している危険な酸によるものであることが判明。

 これは、マラリアで死亡する危険性の兆候として顕れる場合が多いのです。この酸過多に対する投薬、2 単位の輸血を実施して慎重に観察をつづけたところ、容態は安定しはじめ、徐々に改善の兆しが現れてきました。こうして、劇的な入院から、わずか5 日目にして彼女は完全に回復、退院して帰宅できたのです。この検査は米国の病院ではどこでも実施できますが、カンボジア人検査技師であるシンナさんによれば、プノンペンでこの検査用機械を装備している病院は、2 つしかないとのこと。この高難度の検査を実施できたことが、サイン・サイさんの生命の救済につながったのです。

 サインさんの妹さんは、
 「この病院が大変な人気で、どのような患者に対しても最善の治療を施してくださるということに間違いはありませんでした。重態で一週間半に亘ってほとんど意識のない状態が続いていた姉は、この病院との縁がなければ、今ごろ生きていなかったでしょう。姉の命の恩人であるこの病院のみなさまに、感謝の気持ちはとても表しきれません」


「高さ10m の木から落下した少年を救ったスタッフの連係プレー」
ヘン・キム・イアンさん
 キム君は14 歳の少年で、高さ10 メートルの木から尻から落下したのでした。不幸にもちょうど、木の下では除草機で土を掘っていたため、振り下げられたその機械のアームにキム君の体側が激突、さらに傷は深くなったのです。

 救急治療室での物理検査とX 線検査の結果、内臓打撲による腹部の急腫張、激痛を伴う骨盤骨折、会陰の内出血と裂傷が判明。彼の生存には、検査室と整形外科部との緊密な協力体制が必須でした。

 手術室では、輸血と共に、内出血を阻止して骨盤を安定させるための外部固定フレームが装着されました。解剖検査をした結果、腹部内臓の後部に血液の滞留が発見されました。尿道に副木を当てての再結合は無理だったので、この高難度の手術を執刀できる泌尿器科医を現在模索しているところです。術後数日間、彼は状態が安定するまで外科病棟の集中治療室で手当てを受けました。骨盤骨折が回復すれば、2 、3 週間後には外部固定フレームを除去できるでしょう。

 「この病院のあらゆる対応に、感謝の思いで一杯です。スタッフのみなさんは、我々の貧しさにも愚痴一つ漏らすことなく、昼夜なく孫の手当てのために誠心誠意尽してくれました」
と彼の祖父である64 歳のヨム・ヘンさんは喜びを表し、
「この病院がなければ、孫を失っていたでしょう」

スタッフの横顔
ネイビー医師
 ネイビー医師は、地域医療、特にHIV/エイズ分野で発揮したたゆみない努力とリーダーシップにより、今月の最優秀スタッフとして選ばれました。他の医療機関との連携を強化しつつ、より需要の大きい研修プログラムを展開させた彼女の献身により、HIV/エイズ部の存在感と実績が、画期的な飛躍を遂げたのです。
 また、患者たちに対する社会的および心理的支援の重要性を痛感したネイビー医師は、病気や障害をもつ人々を肉体的・精神的に助けるボランティアを派遣しているHIV/エイズ支援グループの奨励にも力をいれています。彼女は、初期にWHO (世界保健機構)により資金援助を受け、現在はKHANA により財政支援をうけているホームケアプロジェクトの一員として活躍しつつ、二人の新しいHIV/エイズカウンセラーの養成にも尽くしてきました。
 ネイビー医師は、当病院のポット外科医と結婚し、現在1 歳の赤ちゃんがいます。今週、ネイビー医師は、クアラルンプールで開催されるアジアHIV/エイズ国際会議に、シアヌーク病院を代表して出席する予定です。
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