ハンさんは、『アジア僻地診療』所属の当病院スタッフにより、運ばれてきました。川ボートでしか近づけない辺境地区への週例往診の際に、この46歳の農夫がひどい状態にあるのを発見したのです。彼の左手と左腕は激しい感染に冒されており、特に小指と薬指はほとんど壊死状態でした。いくつかの植物を調合した伝統医薬に頼っていたようですが、緊急手術するしかない状態に悪化させただけだったようです。
入院後、ただちに手術室に収容されたハンさんは、感染部分の全切除を受けました。
プノンペンから遠く隔たったこの村の住人のほとんどは極貧状態にあり、アクセスできる医療の関心はほとんどなく、ひどい食生活を送っていました。彼の入院中、その手の重い感染は、実際には結核が原因であったことが判明。結核のために感染に対する抵抗力が落ち、さらに糖尿病を併発していました。そして、バクテリアが露出した慢性疥癬の患部から手に侵入。栄養失調、結核と糖尿病で衰弱しているために、急速に手に広がった感染に抵抗できなかったようです。
内科および外科チームは、彼の合併症状が平癒することを確約しています。ハンさんは2本の指を切断せざるを得ませんでしたが、いずれ左手の残りの指は使えるようになるでしょう。
インタビューに答えて、彼の奥さんは、
「夫を昼夜なく介護してくださった医師、看護婦のみなさまに心から感謝申し上げます。私は米を買うために野菜を売らなければならず、夫に付き添うことはできませんでした。8人の子供を育てるのに十分な米を買うために、5,000リエル(約1,30ドル)ほどを一日に稼いでいます。看護婦さんたちは、夫のために食料を買ってくれたりまでしました。彼女たちは、私たちのような貧しい家族をも、とても心優しく看護してくれました」
ハンさんは
「この病院がなければ、手を失い、何もできなくなっていたと思います。病院スタッフは、患者を本当に手厚く介護して下さっています。スタッフのみなさまにとても感謝し、幸せを感じています」 |