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2000 9
マンスリーレポート
隣接病院との協カ関係強化

互いに学び合う気運上昇

 シアヌーク病院は、他の医療機関や政府関連部門との連携強化に乗り出しています。隣接しているプノンペン市立病院では、シアヌーク病院の担当外であるマタニティケアや眼科診療を実施しています。これらの専門科は、当病院の成人外科や一般医療サービスを補足するものです。

 両病院の関係が強化されつつある背景には、当病院スタッフが市立病院スタッフを指導していること、そして市立病院の施設改築中に、市立病院の3人の内科医、チュワー・ソク・アンさん、ソファットさん、そしてゴウンさんがシアヌーク病院に3週間滞在されたことがあります。彼らは、最新の機器を駆使した新しい管理技術を学びました。当病院内科のタイ・ソフィーク医師は、カンボジア人医師たちの視点を彼らに伝えました。彼女は、
「長い間、政府系病院と緊密な協力関係を結び、わが国の貧しい病人たちに最新の医療を捉供する道について互いに研鐙したいと切望してきました」
 と語ります。

 シアヌーク病院の使命は、この国の貧しい病人に手を差し伸べ、多くの複雑な病気に罹っている患者たちが訪れるようにすることです。このような環境自体が、我々や病院外の他組織にとって、最良の医療訓練の場になっています。市立病院との協力機会が増えることを慶びたいと思います。この提携が、プノンペンの医療をさらに向上させることになるでしょう。


地方病院の研修支援

 北東部の国境に近いストウン・テン県県立病院からシアヌーク病院に問い合わせがあり、そこの孤立状態にあるカンボジア人医師たちを指導してくれないかという要請を受けました。キャメロン・ギフォード医師および主任内科医であるレアン・ブンセ医フ研修の必要性について意見を交わしました。彼らは非常に向学心が高く、技術を研鐘できる機会を切望しています。研修の企画、その資金調達方法の検討など、この需要の高い支援について、現在準備が続行中です。


アセァン会議でバナリス医師が発表

 放射線部のチェア・バナリス医師が、当病院を代表し、3月23〜25日にかけてタイで開催された第10回アセアン協会会議に出席されました。会議には、20力国から300人の出席者が集い、100人がスピーチしました。

 この会議のトピックは、診断撮像、介入放射線学、放射線オンコロジー、核医学、放射線品質保証、放射線物理学および生物学、放射線安全性、放射線学および生物医学における新しい発展、などでした。
 バナリス医師は、
 「多くの異なる国々から専門家を招いて開催された、このような会議に参加させてくださったシァヌーク病院に心から感謝し、幸せを感じています。今後も精一杯働き、ここでの経験を同僚にお伝えしたいと思っています」
 と語りました。


歓迎!薬剤師 ローレンス・レロイ・ターデイフさん

 フランス出身のローレンスさんは、家族とともにプノンペンで暮らしています。その薬剤師、また経営者としての経験を当病院で活かしたいと、パートタイムで勤務されています。当病院のさらなる運営と企画の向上を支援したいという彼女の意志を、私たちは高く評価しています。ローレンスさんたちは、外来部、救急治療室、入院病棟などから要請される一日平均160件にもおよぶ処方をこなしています。

 ローレンスさんは、薬理学の学位をもち、パリ第11大学でMBAを取得。病院に2年間、製薬業界に4年間勤務された経験があります。1年は臨床調査団
体内でのマーケテイング、3年間は新製品市場調査員および調査予測員として働いていました。
 彼女は、備品倉庫および医療スタッブとの協力関係を向上するために、薬局スタッフの指導にあたってくれました。この結果、医師たちは薬局に対して白分たちの要望をより的確に伝えることができるようになり、また薬局は病院の要望をより正しく予測できるようになったのです。

 ローレンスさんは、患者との交流も心から愉しんでいる様子です。彼女日く、
「患者さんたちからは、とてもいい反応を感じています。私たちが患者さんを目の前にしたときに、彼らの助けとなるものを与えることができるのですから」

患者の物語
「食物汚染による多発性肝膿瘍が平癒」 ドエウン・デンさん
 ドエウン・デンさんは、カンポン・チュナン県の貧しい家庭出身の17歳で、高熱、腹痛と肝肥大を7日間患ったすえ、来院しました。汚れた食べ物からアミーバ性寄生虫が体内に入り、引き起こした多発性肝膿瘍であることが判明。救急治療室で排膿措置がとられ、500mlの暗褐色の膿が出てきました。

 その後入院し、大量の抗生物質が投与されました。腹部の大手術の必要性が懸念されていましたが、2日間で微かな好転が見られたのち、抗生物質が効いた様子で急速に回復していったのです。もはや手術の必要はありません。当病院の外科器具や医療備品の多くは寄贈されており、このような多くの重症例を救済できる、高価ですが必須の抗生物質を投与できる状態に恵まれています。

 内科部長のキャメロン・ギフォード医師は、
 「この症例は、シアヌーク病院の迅速な診断治療能力を証明しています。それは、貧しさのためにほかでは医療へのアクセスの道が閉ざされていた人々を毎日救済するために活用されています。少年の父親から内科チームが毎日受けている、満面の、感謝に満ちた、そして気恥ずかしげな微笑みが、それをすべて表していると思います」

「蛇毒による片手喪失の危機を脱出!」 コン・ヴッテイ君
 プノンペンから少し離れた村から訪れたブッテイ君は11歳で、暗い穴に落ちて、蛇にかまれたということでした。
 彼の家族は伝統医薬にしか頼れなかったため、手の甲の皮膚は壊死していました。蛇毒の影響で、彼の腕は恐ろしく腫れ上がっています。人差し指の骨に達する深いところに潰瘍ができて、これが人差し指を伸ばすための指関節と腱を破壊していました。手外科および整形外科のグラハム・ガムリー医師は、
 「彼の人差し指はもはや治療できる状態にないことは明白でしたので、その指の軟組織を使って彼の手の甲の広い範囲にわたる損傷を覆うことにしたのです。新しい皮膚は日光を受けると変色し、元の皮膚と調和してゆきます。術後まもなく手の訓練に入ることができました。彼は、いまは故郷の村に戻っています。今は、毎日のドレッシングだけが必要な状態です。人差し指は失いましたが、彼の手はまもなく正常な機能を回復できるでしょう」
 無料の治療であることが、この少年の手を救ったのです。彼は、より充実した生産的な生活を送れることでしよう。

「元看護婦を改心させた感動の治療」 ファイ.ボファリーさん
 ファイ・ボファリーさんは、36歳の女性で、カンポン・チュナン県に3人の子供と住んでいます。カンポン・チュナン病院で看護婦をしていましたが、結婚後退職し、子供をもうけました。今年1月、夫と3歳の子供とともに交通事故に遭いました。彼女は右脚を骨折、子供は軽傷、夫は事故の2時間後に死亡したのです。

 ボファリーさんは、絶え間ない脚の激痛に苦しんでいましたが、治療を受ける費用がなく、絶望していたといいます。そんなときに、隣人が、貧しい病人に必ず希望と支援をしてくれる無料病院として、シアヌーク病院のことを教えてくれたのでした。急患や重症者に対してこの病院は速やかに処置してくれると聞き、シアヌーク病院に到着した彼女は、早速右大腿部の乎術を受けました。3週間後、ずっと具合はよくなりました。物理療法士のラッシさん(写真左)は、松葉杖をついて歩く方法を指導しました。

 彼女は、感謝に満ちた笑顔で、
 「こんなによくなって木当に幸せです。大変な激務に明け暮れ、私たちに元気を与え、温かい介護をしてくださっている医師、看護婦のみなさま、木当にありがとうございました。私も看護婦でしたが、皆様のように思者に尽くしたことはありませんでした。患者やその家族からの要請がなかったり、あるいは費用を払えなかったら、彼らを検査したり具合がどうか尋ねることさえしなかったのです。本当に申し訳ないことをしていました。いま、ようやく目が開かれたような思いです。このような偉大なモデルを見、お話を聞ける機会を得たことは、木当に幸運でした。ここではすべてが大変清潔で、どの医薬も無料です。そうしたことが、私をもう一度看護婦に戻ってみようという気持ちにさせてくれました。亡くなった主人の代わりに、3人の子供を育てていかなければなりませんから。この病院がなければ、脚の傷はますます悪化して、このように歩けることはなかったでしょう。ありがとうございました」

スタッフの横顔
病院役員秘書 ジョイス・アテイェノさん
 ジョイスさんは、2年前に当病院役員秘書として採用されました。プノンペンには、国連職員である叔母と一緒にケニアから移住してきました。当病院では、英語を母国語とし、英語でのタイプ、筆記、ファイリングを確実にできるスタッフを求めていました。ジョイスさんはそれらをすべてこなし、現在はさらに能力が向上しています。叔母さんはニューヨークに移りましたが、ジョイスさんは当地に残り、シアヌーク病院での勤務を続けてこられました。このことに、私たちはとても感謝している次第です。彼女は、大切な家族から遠く離れて住んでいるわけですが、給料のかなりの部分をケニアの家族に送金して、兄弟姉妹が学業を終えられるよう支援しています。

 ジョイスさんは、いつも白ら積極的に仕事を求めています。そして、私たちが仕事を与えると、それをこなして更に希望してくるのです。 彼女は、一切不平不満を漏らすこともなく、最後まで同僚の手助けをし、緊急の事案の対処などにも積極的に協力してくれています。怒ったり、取り乱したりすることもなく、いつも穏やかで明るく、多くの面で病院の効率的な運営に寄与してくれています。最近では、量新の内科学についての講義のために、膨大なタイピングが必要だったのですが、彼女はルート・リネン医師の家で土曜日にも仕事を続け、講義録が間に合うよう大きな貢献をしてくれたのです。また、病院ヘアポイントメントで訪れたり、院内見学に来ている人たちのアテンドにも、大きな力になっています。同僚スタッフに対しても、たいへん思いやりが深く、協力的です。行き違いや、なにか問題があったときなど、全力をつくして和解や支援に尽くしています。また、新しい電話交換機の操作も習得し、白在に操れるようになりました。まもなく彼女は病院が必要としている更に深い技術を習得するため、通学することになっており、とても楽しみにされています。
 私たちを大きく支えてくれているジョイスさんのすばらしい仕事振りに、心から感謝いたします。

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