エイズ感染禍のなかで
悲しむべきことですが、HIVにより命に影響を受ける当病院患者とその家族の数は増えつづけています。しかし、AIDSを伴う重病患者の治療に伴って、予防教育や家庭健康管理にイニシャティブをとることに燃えています。
カンボジアは、アジア最悪のエイズ蔓延国で、約15万人が感染しており、毎年17,000人〜25,000人の割合で増えつづけています。2000年度には患者増加率が1.5%に達するとみられ、今年末までに21,800人が死亡するだろうと予測されています。わずか65%の識字率、平均通学年数2.5年、貧困、栄養不良、他の性感染疾病の流行、などの負の要因が拍車をかけ、世界最速の患者増加率を生み出してしまっているのです。
直接的な風俗業従事者のうち、42%がすでにHIVに感染しており、これはアジア最悪の割合です。AIDS患者の40%は女性で、妊娠女性の感染率は2.6%に達しています(厚生省調べ)。このような危機的状況を改善するためには、人々の生活態度や行動を正すための教育とともに、肺炎、結核ほかの感染病などAIDSから派生する二次疾患の治療が必要です。
HIV部の発展において実施してきた革新的業務を率先してきたことを、私たちは誇りに思っています。医師、看護婦およびパラメディカルスタッフを含む専任チームが編成され、ギリアン・ホール医師の指揮のもとに、主任カンボジア人、HIV内科医ソク・ファン医師とネイビー医師、ガク医師の協力により、ガイドされることになります。外来および入院患者へのサービス向上の努力に加えて、これまで達成した実績には、自らの時間を割いて公衆予防教育を実施するとともに、末期患者に対して衣類、付き添い、食料や個人介護を行って励ます、ボランティアを教育する《ボランティア研修プログラム》の設立が挙げられます。
また、私たちは、香港で開催される《ホープ・ヘルス・コーポレーション会議》におけるフィールドワーク活動で当病院内科医チームと協働する100人の医師、看護婦および他の医療専門家をホストすることを楽しみにしています。この会議のテーマは、《アジアにおけるエイズ予防》《最新情報》で、11月13〜19日にかけて、ハーバードエイズ研究所とホープ・ワールドワイドの共催、UNAIDS、香港エイズ顧問グループおよびユニセフの協賛、南カリフォルニア大学医学大学院、南カリフォルニア太平洋エイズ教育研修センターが後援します。ボランティアによるパイロット・プログラムが、ホスピスや家庭でのエイズ患者を日々支援しています。
英国人家庭医学内科医である当病院のギリアン・ホール医師とホープの現地ボランティアコーデイネーターのチャベリスさんの指揮のもと、HIV支援グループが1年前に発足しました。その目的は、患者たちが率先してその同僚たちを教育することを奨励し、また患者相互の支えあいを補助することにあります。
プノンペンの街路や近隣でのエイズ覚醒キャンペーンの効果は、世界エイズデーキャンペーンの一環として行われ、この11月で4000世帯に達し、過去9ヵ月にわたるボランティアの継続的努力の励みになってきました。彼らは、毎日、ホスピスや患者宅の訪問をつづけました。
今年、このグループで働いている常任ボランティアのうちの3名が、世界保健機構の財政援助を受けているエイズ家庭介護チームパイロットプロジェクトのメンバーとして選ばれました。これは、共同体内におけるエイズ患者にたいする介護と支援治療の提供を改善するためのカンボジアにおけるあらゆる家庭介護において、最初のイニシャティブとなりました。
彼らはまた、世界銀行から、患者たちの物理的精神的需要をみたすための支援を援助するために、ボランテイアにHIV/エイズに冠する知識と介護の研修を支援するための資金を提供していただいています。教育資料は、当病院のガク医師、ネイビー医師により開発されたものです。この新ボランティア研修プログラムの開幕スピーチは、国立エイズ・プログラムの委員長であるテイア・ファラ医師が行いました。世界銀行、CAREインターナショナル、厚生省、ワールド・ビジョン、およびHIV/AIDSコーデイネーション・コミッテイーの他のメンバーをゲストに迎えてのレセプションが、ボランティアの研修セッションのスタートに先立って、行われました。
この14週間にわたる研修プログラムによって、公衆予防教育や末期患者に対する介護に自らの時間を割いて献身するボランティアの方々は、当市にたいして最大の影響力をもつようになるでしょう。
外科研修プログラムが認められる…
3年間の研修プログラムに、大学および ベルギー給付外科医が参加
プノンペン大学および厚生省首脳による会談の結果、当病院外科部長のグラハム・ガムリー氏により開発された3年間にわたる外科研修プログラムが主流として受容されることになりました。
「1年間ここで働き、病院の同僚からの情報などから、我々は当病院スタッフの知識に基づいて構築され、この病院で実際に発生している深刻で重い病状の症例に適用できるプログラムを開発しました」
この大学は、彼らの外科研修生のうちの一人を当病院に6ヵ月間のローテーションで滞在させたいと要請し、またベルギー支援による外科研修プログラムは毎週当病院に半日間の指導を行う研修生を6名派遣しています。 |