外来クリニックで二年間治療を受けてきたピット・チャムさんは、片道三時間かけて来院していました。早朝、プノンペンに到着すると、午後おそくまで待合エリアに座っていることになります。順番が回ってくるころには部屋は満杯になっているため、仕切りのない場所で診察を受けざるを得ませんでした。他の多くの患者も同様です。チャムさんは診ていただけるだけでも感謝していましたが、もう少しプライバシーを尊重していただける環境があれば、というのが希望でした。
これには、通院患者の診療は、最近まで、救急治療部近くの混みあった場所を使うしかなかったという事情があります。そのため、医師と患者が心おきなく会話し交流しづらく、診療のプロセスが他人に見えてしまうのでした。
さらに、こうした環境下では、医師たちも診療がながびいて、午後に予定している研修に参加できなくなることがしばしば生じていました。
現在、患者たちはスクリーンで仕切られたセミ・プライベートスペースか個室で、ほぼ時間通りの診療が実現できています。医師や看護婦たちが協力してよりよき診療システムの開発に智恵をしぼっていますので、今後も効率は向上し続けていくことでしょう。
チャムさんは、この新しい外来クリニックのおかげで、プライバシーが守られ、有効に時間を使えるようになったと、たいへん感激されていました。
「お医者さんに心おきなく病状をお話しできるようになり、はるかに心地よく感じます。」
いまやこの新規クリニックは、温かみがあり、効率よい医療のモデル的存在として、大きく活かされています。 |