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2003 7
マンスリーレポート
患者の物語 ピット・チャムさん
患者の物語
ピット・チャムさん
 外来クリニックで二年間治療を受けてきたピット・チャムさんは、片道三時間かけて来院していました。早朝、プノンペンに到着すると、午後おそくまで待合エリアに座っていることになります。順番が回ってくるころには部屋は満杯になっているため、仕切りのない場所で診察を受けざるを得ませんでした。他の多くの患者も同様です。チャムさんは診ていただけるだけでも感謝していましたが、もう少しプライバシーを尊重していただける環境があれば、というのが希望でした。

 これには、通院患者の診療は、最近まで、救急治療部近くの混みあった場所を使うしかなかったという事情があります。そのため、医師と患者が心おきなく会話し交流しづらく、診療のプロセスが他人に見えてしまうのでした。
 さらに、こうした環境下では、医師たちも診療がながびいて、午後に予定している研修に参加できなくなることがしばしば生じていました。
 現在、患者たちはスクリーンで仕切られたセミ・プライベートスペースか個室で、ほぼ時間通りの診療が実現できています。医師や看護婦たちが協力してよりよき診療システムの開発に智恵をしぼっていますので、今後も効率は向上し続けていくことでしょう。

 チャムさんは、この新しい外来クリニックのおかげで、プライバシーが守られ、有効に時間を使えるようになったと、たいへん感激されていました。
「お医者さんに心おきなく病状をお話しできるようになり、はるかに心地よく感じます。」
 いまやこの新規クリニックは、温かみがあり、効率よい医療のモデル的存在として、大きく活かされています。

スタッフの横顔
シン・ファルさん
 たゆみない向上心、いかなることにも対応できる柔軟性、そして自分に厳しい勤務姿勢ーこれらの理由により、シン・ファルさんが二月度の最優秀スタッフに選ばれました。国立経営研究所の学生だったときに、当初は病院の夜間警備員として採用されました。その後、旺盛な新しい業務の習得意欲や、自らすすんで責任を負うことを厭わない姿勢が評価され、広報部の運営助手に抜擢されました。

 そこでファルさんは、新たに加入し、また去っていくスタッフに対して、引っ越しのアドバイスや諸事万端にわたるお世話をすること、また地主との契約交渉などの任務を担当することになりました。その後、ファルさんは病院が催す主要イベントの企画運営の中心的存在として活躍してきました。
 現在の業務を模範的な姿勢でこなしながら、新しい課題や任務に取り組むことを喜びとしているファルさん。これからもシアヌーク病院にとって、彼はかけがえのない財産でありつづけるでしょう。

シン・トウアー・ポット医師
 外科のシン・トウアー・ポット医師は、シアヌーク病院に勤務して六年になります。この間、その強い職業倫理とリーダーシップで、スタッフの尊敬をあつめてきました。ここのところ、同僚不在による新しい臨時任務を要請されることが続きましたが、快く引き受けて、見事にこなしてくれました。
「ポット医師はリーダーとして飛躍的に向上しており、チームメートに対しても常に細やかな配慮を尽くしてくれています。」
 と、ルース・トウーテイル外科部長は絶賛していました。
「彼の指導力は、他の外科医たちにとって、はかりしれない価値あるものです。」
 一方、ポット医師は病院の全スタッフに対して、敬意を表されていました。
「ここでは、みなさんが本当に骨身を惜しまずに働かれています。そして、私自身、貧しく救いが必要な人々をこれほど温かく大切に扱われていることに、多くのことを教えられているように思います。」
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