カンボジア王室の心強いサポート
カンボジア王室が、在カンボジアの前日本大使およびキムラ・エミコ氏に対して、日本ロータス財団からの寄付金$5,000 を当病院のために活用することを提案、これが快諾されたとの朗報が届きました。
キャメロン医師とキアラ夫人が、病院代表として王宮での寄付金授与式に参席いたしました。王妃は、シアヌーク病院スタッフの献身を労われ、シアヌーク国王の代理として『貧しい人たちの救済のために多大な貢献をされている病院スタッフの皆さまに、深甚なる謝意』を表されました。
アジア近隣諸国から学んだ教訓を生かし、このような状況に歯止めをかけるには、政治的な断固たる対策と協力が不可欠です。次のような活動を根付かせて予防措置を講ずるために、財政的および技術的援助が求められています。たとえば、学校および高危険度に晒さらされる職場におけるエイズ啓蒙教育やコンドーム使用の普及などです。若干の抗ウィルス薬も販売されていますが、ほとんどの人々は貧困のために手を出せないのが実状です。
シアヌーク病院は、生命に関わる救急医療から、精神的、社会的援助そしてカウンセリングまで、あらゆる分野にわたって幅広い治療と支援を提供している、カンボジアで唯一の病院です。その活動が、カンボジア人の生活、家庭や地域社会におけるこの難病に対する認識を大きく向上させてきたと自負しています。そして、その機会を与えてくれたのが、市内や地方から日々来診に訪れる多数の患者たちだといえるでしょう。
国際整形外科会議で講義
当病院理事兼、外科部長のグラハム・ガムリー医師は、4 月に開催された国際整形外科学会で、地雷犠牲者について発表、注目を集めました。この学会に集った85 ヶ国から総勢4,000 名の整形外科医は、日本から 500 人、フランスから300 人、その他アメリカ、イギリス、インドから多数、また他の小国からの出席者もありました。ガムリー医師は、整形外科機器見本市に参加した約1,000 名の業者のうちの数名と、当病院が必要とする備品について話し合う機会を得ました。
特に、道路での地雷被爆による負傷者についての研究が、発展途上国における同様の負傷者増加を反映し、著しい注目を集めました。また義手・義足に関する最新の研究結果について議論が交わされ、特に発展途上国で使用するには、かがんだり、膝を曲げたり、床に座るために、相当な膝の可動性が必要になることが指摘されました。
ガムリー医師は、地雷負傷者の治療手術や術後の問題について、スライドを用いて発表。地雷犠牲者のうち、30 %が女性や15 歳未満の子供であり、子供たちの治療には外科再修復の手術が必要になることが少なくありません。
そしてシアヌーク病院は、貧困者や病人に対して外科治療を実施できること、かつそれと平行して義手・義足製作やリハビリテーションに携わる組織を支援していることが強調されました。
外科およびHIV 研修の支援
ボストンのルエットガーズさんご一家から、当病院の外科研修プログラム継続に対して賜りました財政支援に、厚くお礼申し上げます。彼らの尊い善意によって、当病院の3 名のカンボジア人外科医、チャンタ医師、ポット医師、モーニー医師の研修を進めていくことができます。
彼らは、客員ボランティア外科医たちの指導のもとに、最先端の外科技術を駆使して、患者との相談、観察、そして治療をする貴重な機会を得ました。その技術は、手術時の切開量を少なくして回復期間の短縮に寄与でき、多くの貧しい患者たちにとって、大きな福音となることでしょう。
さらに、この寄付によって、HIV/エイズ部のカンボジア人内科医ソク・フォーンさんの支援、並びにネイビー医師のHIV 部への招聘が実現できます。ネイビー医師は、当病院に加入する前に、カンボジア赤十字 HIV/エイズグループ啓蒙プグラムと緊密な協同作業を経験されており、勤務時間の8 割をこのHIV 部門に、残り2 割をこれまでの救急治療室での活動に費やすことができることになり、ご本人も大変喜んでいます。これによって、他の非政府組織や政府プログラムとの提携も進めて、地域予防活動や治療任務でさらに充実した成果が期待されます。
HIV/エイズ予防ビデオ
カンボジアでのHIV/エイズ感染率の上昇を抑制する最も効率よい方法は、予防に尽きます。当病院のHIV/ エイズ部のソック・フォーン医師は、国連開発プログラム(UNDP )の資金援助によるエイズ予防に関する短時間ドキュメンタリービデオの製作を熱望していました。シアヌーク病院で受けた治療に感謝している多くのエイズ患者は、地域でボランティアとして活動してくれるようになり、毎日、エイズと共生していく挑戦のドキュメンタリーにすすんで出演してくれています。
救急治療室におけるボランティアアシスタント
マイク・レイノルズ医師が救急治療室を応援
マイク・レイノルズ医師が、救急治療室に3 週間にわたってボランティアで応援に駆けつけてくださり、その貴重な経験をスタッフに伝授してくれました。また、彼のおかげで、スタッフが休暇をとることができました。マイク医師は、現在コロラド大学デンバー健康科学センターのファミリー・プラクティス・レシデンスの2 年目を終了するところです。彼は、ボランティアとして満たすべき役割の指示を受け、それを理解するのに一週間かかったと言います。しかし、救急治療室のカンボジア人内科医は、患者の診断や治療計画を進めていくための思考経路について指導いただいたことを、とても感謝していました。
「私は、友人や同僚の心温まる援助を受けて、このカンボジアに来ることができました。自分が受けた教育を、病に苦しむ人たちのために活かしたいと熱望していたのです。そして、カンボジアでの医療の欠乏や、当病院の膨大な需要を聞いて、ぜひこの病院で患者のために尽くしたいと願ってきました」
「患者さんたちは本当に貧しくて、深刻な症状であるにもかかわらず、大変感謝されています。私はここで医学的にも、またリーダーシップやチームに貢献することなどについても、多くの事を学ばせていただきました」
トレーシー夫人、そして18 カ月になるお子様と離れて、絶大な貢献をしてくださったマイク医師に、心から感謝をささげます。 |