『オペレーションUSA 』が4個の40フィートコンテナを寄贈
『オペレーションUSA 』は、カリフォルニア州ロングビーチに本拠をおく慈善団体で、大規模な倉庫管理を業務としており、40 フィートコンテナを4 個提供してくださいました。そして、医療備品や医薬品のメーカーからお贈りいただいた物資、他の病院や医療センターから寄贈された中古機器などをそのコンテナに詰めて、シアヌーク病院などの発展途上国における、価値あるチャリティ組織に船荷として送達する手配をしてくださったのです。これらのコンテナには、危機的な需要に迫られていた医薬品や医療備品、医療・検査機器などがすきまなく収納されました。
ウオルデン氏は、米国政府、ロス・アラモス研究所からの科学者二人とボランティア1 人を同伴し、発展途上国における医療組織と協力関係を結びたいと希望して、当病院を訪れたのでした。当病院検査室アンジェラ・ウェイド主任とキャメロン・ギフォード内科医長が、シアヌーク病院全体をご案内しました。押し寄せるような多数の患者、その貧しさ、病気の深刻さにショックを受けた様子でした。ウオルデン氏は、必須医薬品や医療機器のためのコンテナをさらに多数提供したいと申し出て、シアヌーク病院への支援継続されることを約束してくれたのです。これに賛同したギフォード医師は、来る8 月の米国出張時にオペレーション USA を表敬訪問し、より緊密な協力関係を結びたいとの意向を伝えました。
その翌日、ギフォード医師、ウオルデン氏とそのチームは、ベテランズ・インターナショナルにより運営され、当病院と提携しているリハビリテーションセンターを訪れるために、キエン・クレアン地区に赴きました。キエン・クレアンの患者たちは、組織機能回復のための整形外科手術を受ける必要があり、この手術をシアヌーク病院が担当しています。ウオルデン氏および『オペレーションUSA 』の面々は、キエン・クレアンおよびシアヌーク病院の卓越した能力を目の当たりにして納得され、この両団体に対する支援継続を約束されたのです。
ウオルデン氏および『オペレーションUSA 』の尊いご厚意に、御礼申し上げます。カンボジアの貧困患者のために共に力を合わせていけることに、大いなる期待を抱いている次第です。
リハビリテーション科が充実
4名の理学療法の専門家を当病院にお迎えできたことは大変意義深いことでした。
理学療法士は、カンボジアにおいて極めて貴重な人材といえます。250 人に1 人が地雷で負傷し、その多くが手足の切断手術を受けているという状況から、膨大な需要があるのです。またこの国ではオートバイにヘルメットを被らないで乗ったための頭部損傷事故も多く、さらに高血圧や糖尿病を放置したための脳卒中も頻発しています。
当病院を応援に駆けつけてくださったのは、小児リハビリテーションセンターのギュエン・チュ・チュイ医師と、ハノイの病院のカオ・ミン・チャウ医師。我々の処置方法を観察すると共に、リハビリテーション技術について助言をしてくださいました。
彼らは、プノンペンのキエン・クレアン・リハビリテーションセンターのゲストとして招聘されていたのでした。
クレメン・グラブリエヴェック医師と同僚のブランカ・ミクルメズナー医師は、米国赤十字の要請でスロベニアのリハビリテーション研究所から訪れ、それぞれ当病院に1 週間滞在。患者の治療、分析作業を進んで引き受け、また我々の内科および看護スタッフのために、多大な時間を指導に割いてくれたのです。
彼ら強力な応援グループとの交流で得た経験と、困難を極めるこのような医療環境におけるリハビリテーション医学に対する膨大な需要を鑑み、私たちは2001 年2 月に国際リハビリテーション会議を開催したいと考えています。プノンペンにおける患者治療を互いに協力しあうなかで築かれた私たちの友情は、この専門科を大きく発展させていくための重要な礎になることでしょう。
エキスパートたちの心強い応援
米インディアナポリス大学大学院3 年生で作業療法を専攻しているタラ・アサドさんは、今年12 月に修士号が授与される予定です。
彼女は、ぜひシアヌーク病院を訪れて、その活動を視察したいと切望されたそうです。様々な証言や、過去や現在の状況の記録を読んで、当病院でぜひともカンボジアの人々のために貢献したいと思ったとのこと。タラさんは、様々なレベルでそれぞれの生活に大きな困難があるにもかかわらず、カンボジアの人々はみな忍耐力が強く、そして高い倫理性とともに感謝の心を持っていることを実感したといいます。
彼女は、多くの患者の治療に尽力し、またスタッフ指導にも貢献してくれました。
イアイ・チさんは、骨盤骨折をした70 歳の女性でした。手術後、タラさんはイアイさんの可動訓練を担当。術後2 日目に、チさんはベッドの中での訓練の仕方、そして骨折した側の脚に負担をかけない歩行器の使い方を習いました。その後5 日間にわたって、チさんは少しずつながら歩けるようになり、その距離は20 メートルまで延びて、最小限の介添えでベッドへの出入りもできるようになったのです。
タラさんの指導は、チさんの人生に劇的な向上をもたらしました。正しい技術を教えてもらわなければ、転倒して臀部の損傷をひどくする可能性があったのですから。そして、タラさんが彼女のリハビリを行う意欲を沸き立たせてくれなければ、チさんは硬化して痛みを伴う臀部のために、ベッドに横たわったままで生きなければならなかったでしょう。
ロサンジェルスから脳頸部外科のトム・グローシュ医師が当病院を訪れ、6月末に9日間滞在されました。彼は、カリフォルニア州バーバンクにて、8 年間臨床医を務めています。
滞在中、グローシュ医師は、その特殊技術を活かした手術を4 件こなし、2 つの外来クリニックで治療にあたり、さらにカンボジア人外科医のために3 回の研修会を開いてくださいました。そのうちの一つには、当病院の全医師が参加しています。
夫人と3 人の娘さんから遠く離れ、自らの貴重な時間を割いて、当病院のカンボジア人スタッフの技術向上のために貢献してくださった彼の善意を、心から称えたいと思います。 |